2013年7月21日日曜日

Studio One

強烈なMusicソフトStudio One!!
近年は、自宅で曲を作れる時代ですよね。
面倒で費用の高額なスタジオで作業しなくても、自宅でPCがあれば曲作りに没頭できますよね。
その、究極のソフトが今回ご紹介する、Studio Oneです!!
先ず、僕自身が触った感想からですが、正直言って最初は期待はしていませんでしたが、
作業を進めていく度に驚きと感動で震えました。
 
Studio Oneの生みの親は、ドイツの名匠ヴォルフガング・クンドゥルス氏だ。クンドゥルス氏はSTEINBERG CubaseをATARI用の初期バージョンのころから手掛けたソフト開発者。
Studio Oneの開発はこのクンドゥルス氏および、フリーウェアのシーケンサーKRISTAL AUDIO ENGINEやSTEINBERG Cubase/Halion/Plex/VSTテクノロジーを手掛けたマティアス・ユーヴァン氏を中心に行われた。

Studio Oneは64ビットOSに対応し、32ビットOSの限界であった4GB以上のRAMを利用することが可能(32ビットOS版も用意されている)。さらに混同しがちなのだが、64ビットOS対応とは別に、Studio Oneの最大の特長として"64ビット・オーディオ・エンジン"の搭載が挙げられる。

プロセッシング/ミックス/バス/エフェクト/インストゥルメントまですべて64ビット浮動小数点(32ビット浮動小数点にも切り替え可)処理だ。多くのDAWが32ビット浮動小数点を採用していることからも、Studio Oneがいかに高品位なサウンドを志向しているかが分かると思います。

その64ビット・オーディオ・エンジンによる高音質設計だけでなく、シングル・ウィンドウの採用、複雑なメニュー・リストに頼らないドラッグ&ドロップ方式、さらにマスタリングに対応する"プロジェクト画面"も別途用意されるなど、ユーザー目線に立った使いやすさを徹底的に追求。

さらに注目すべきは、オーディオ編集機能にCELEMONY Melodyne Essentialを組み込み、DNAテクノロジーによるピッチ解析/編集が可能となっている点。さらに録音テイクのつなぎ=マルチトラック・コンピングや、マスタリング時のDDPの書き出し、VST3プラグインへの対応など、充実した機能を誇っているのがStudio Oneです。


それでは、Studio Oneの凄さをじっくりと説明していきます。
まずスタート画面で"新規ソングを作成"を選択をします。

Studio Oneでは曲作り~ミックスを行う画面を"ソング"、マスタリング用の画面を"プロジェクト"と呼びます。

ソングを立ち上げると、縦にトラック、横に時間軸というDAWでおなじみの画面が現れます。
Studio Oneはシングル・ウィンドウ方式を採用しているので、基本作業はこの画面だけです。

細かなオーディオ/MIDI編集をしたいときは右下の"編集"ボタンを押せば、
下部に選択イベント(他のDAWで言うところのリージョン)の拡大表示が現れますし、
"ミキサー"ボタンでフェーダーを呼び出したり、"ブラウズ"ボタンでパソコン内の
オーディオ・ファイル/VST/Audio Unitsプラグイン/プラグイン・プリセットなどの一覧表示も可能。そのブラウズから使いたい、オーディオやバーチャル・インストゥルメントを中央画面にドロップしていけば、それに対応したトラックを自動的に作ってくれます。

非常に優れた操作感で、ユーザーのニーズがよく分かっていますね。




録音は非常に簡単。
各オーディオ・トラックの"オーディオI/O設定"をクリックすると入力ポートの設定画面が現れるので、オーディオI/Oのどの入力をアサインするかが選択できます。

とにかく細かいことを気にせずに録音に集中できます。
肝心の録り音ですが、お世辞抜きで最高に良いです! 

いつもと同じマイクプリ&オーディオI/Oで録音したのに、
こんなに音が違うとは......ハイエンド・オーディオを聴いているときの立体感というか、
みずみずしさというか、"本物の音"が流れてくる感じがします。

Studio Oneに付属するバーチャル・インストゥルメント、Mojitoのフレーズを打ち込んでみましょう。
バーチャル・インストゥルメントの立ち上げも非常に簡単で、
ブラウズの"インストゥルメント"タブからMojitoの項目を見るといろんな名前のプリセットが並んでいるので、気になったものをソング画面へドロップすればOK。

Mojitoはアナログ・シンセを模したシンプルな作りで、イマドキなサウンドという印象。
エレクトロニカなどで重宝しそうなソリッドな音にドイツらしさを感じます。

MIDI打ち込みは外部MIDIキーボードのほか、"編集"ボタンで現れるピアノロールから行えます。

手弾きで"ズレたな"と思ったら"Q"キーを押せば設定した値へ瞬時にクオンタイズしてくれますし、
逆に人間的なヨレを作り出すヒューマナイズという機能も、エレピの打ち込みなどで
便利に使えると思います。

さすがCubase/Nuendoの開発者が作っただけに、MIDI関連の自由度は非常に高いですね



Studio OneにはMojito以外にも3つのバーチャル・インストゥルメントが付属。

いずれもサンプル・プレイバック・タイプで、まずPresenceはピアノ/ストリングス/パーカッションまで充実の音色を誇るマルチ音源。Impactはパッド・タイプのリズム・マシンで、ビート・メイクに重宝するだろう。

SampleOneはシンプルなサンプル・プレーヤーで、ソング内のイベントをドロップして使うことも可能

ノーマライズ、反転、ストリップ・サイレンス(無音部分を非イベント化)など一般的なファンクションももちろん用意されていますし、個人的にはイベント単位でボリューム・エンベロープが設定できるのが好印象。

トランジェントの自動検出機能も付いています。オーディオのアタック部分に自動でベンド・マーカーを打ってくれて、それを基準にオーディオのクオンタイズを可能にしてくれる機能です。
一定のリズムを刻むパートのタイミング合わせなどに最適でしょう。
それからオーディオ自体のグルーブを抽出して、ほかのオーディオのタイミングをそれに合わせるなんてことも可能です。

 


ボーカルなど、複数テイクから良い部分だけピックアップして1つのトラックにまとめる"コンピング"機能も装備しています。L/Rルーラーで指定した範囲をループ・レコーディングすると、
自動的にトラックの下に"テイク"が増えていきます。

それらを聴き比べながら、"部分的にこのテイクが良い"と思ったら範囲指定をしてダブル・クリックするだけで本チャン・トラックにその部分が反映。

しかもテイクの切れ目に自動的にクロスフェードをかけてくれるので、プチ・ノイズが起こることもありません。ボーカル録りはもちろん、ギターのつなぎでもこの機能はかなり役立つはずです。

ループ・レコーディングで複数のボーカル・テイクを録り、
それらのテイクから良い部分だけをつなぎ合わせるコンピング機能を標準搭載。
一番上のトラックが、下の複数テイクからいいトコ取りをしたものだ。

つないだオーディオ間のクロスフェードも自動的に行ってくれる

Studio Oneの最大トピックの1つとして、
何とピッチ補正ソフトのMelodyne Ess entialを内包していることが挙げられます。
ここでは既存のボーカル・テイクの音程を人工的にいじって「ハモ」を作ってみることにしましょう。

手順は、編集したいオーディオ・イベントを選んでctrl+M(Macの場合はcommand+M)を押すと、MelodyneがON状態になってピッチの自動分析が始まります。

ピアノロールに分析されたノートが並んだら、後はそのノートを好きに移動させていけばいいだけ。
上下の音程だけでなく、左右に動かせばタイミングもコントロールできちゃいます。

DNA(Direct N ote Access)技術が用いられているので、
何と1つのオーディオ・イベントから和音の分析&編集も可能! 
サウンドも他のソフトに比べて自然です。

例えばノートを5度動かすと"キーン"という機械音が出てしまうソフトもあるのですが、
Melodyneに関してはリアルに音程が変化してくれます。

普段からピッチ補正は絶対に行う作業だけに、Melodyneが機能の一部になっているのはうれしい限り。音程のちょっとした補正から、新たにハモ・パートを作るというクリエイティブな用途まで、
幅広く使えるでしょう。


ミックス"ボタンを押せば、下部に各トラックのフェーダーが出現。フェーダー幅を狭めたり、
インサート/センド・スロットの表示/非表示も選べます。

スロットに挿したプラグインはドラッグによる順番入れ替えや他トラックへのコピーも簡単。
この辺で迷うことはまず無いでしょう。

内蔵プラグイン・エフェクトも一通りチェックしてみてください。

例えばPro EQは5バンドのEQで、カーブの背景にリアルタイムにスペクトラム・メーターが現れて非常に分かりやすい作り。コンプのCompressorもしっかりと音が前に出てきてレベルが稼ぎやすく好印象です。

さらに一番良かったのがAnalog Delayで、フィードバック音がにじんでいく感じが"あ~、分かっているな"という感想。この辺のEQ/コンプ/ディレイという基本プラグインが本当によくできていて感激です。

ミックスをしていて思ったのが、出音に余裕があるということ。

一般のDAWでは分離が良くても音をくっつけるのに苦労することがあるのですが、
Studio Oneは音がちゃんとくっつきますし、だからと言って飽和もしないので、
音数が多くても奇麗にサウンドの世界が見えるのです



ミックス時にプラグインだけでなく、手持ちのアウトボードをインサートしたいという人も多いと思います。

そんなときに便利なのがPipelineというプラグイン。

これを任意のトラックにインサートして、センドとリターンのI/Oポートを選んで再生してみましょう。
これだけで、自動的にPipelineがStudio Oneとアウトボード間のレイテンシーを算出&補正して、
ハードウェアのインサートを可能にしくれます。

ほかのDAWで同じことをやろうとすると、自分でレイテンシーを計って波形を前にズラすなどの面倒な設定が必要だったりするので、Pipelineは非常にインテリジェントな作りです。

今度はマスタリング用の新規プロジェクト・ファイルを立ち上げます。
そこへ2ミックスのオーディオ・ファイルを並べていきましょう。

ブラウズ・リストからオーディオ・ファイルを選んでドロップしてもいいですし、
さらにはブラウズ・リストに並ぶStudio Oneソング・ファイルをドロップすると、
リアルタイムにそのソングが2ミックスとして自動的に書き出されます!

 
プロジェクトに並べた2ミックスに対し、"プロジェクト">"音の大きさを検出"を実行すると、
その2ミックスのL/Rチャンネルのピーク・レベルや平均レベルが数値で確認できます。

書き忘れましたが、ソング画面でミックスを書き出す際に、
0dBを超えて赤が付いたりするとアラートが出て、さらにその回数まで教えてくれるようになっています。ソフト全体でレベル・キープに対する万全の対策が取られているわけです。

プロジェクトで2ミックスを再生すると、その状態がスペクトラム/レベル/位相メーターに映し出されます。2ミックスはボリュームやフェード編集のほか、インサート・エフェクトで音質を整えることが可能。

こうして2ミックスを並べていけばアルバム1枚分のマスタリングができます(もちろん1曲だけのマスタリングでもOK)。曲間の指定やトラック・マーカーの挿入も直感的に可能です。
書き出しもオーディオCDのほか、CDプレス工場に納品するためのDDP/ディスク・イメージ、
さらにインターネット公開用にメタ・データが埋め込まれたデジタル・リリース形態も選べ、SoundCloudへのアップロードにも公式対応しています。

もちろん64ビット・オーディオ・エンジンによる高品位サウンドはマスタリングでもしっかり堪能できます。



駆け足でStudio Oneを紹介しましたが、いかがでしたか? 
これ1本でハイファイなポップスからクラブ・ミュージックまで全ジャンルに対応し、
トラック制作からCDを焼く作業まで全部できてしまいます。

さらに付属プラグインもクオリティが高いので、
それだけでもStudio Oneを導入する意義はあると感じました。

乗り換え用途でなくても、新しいクリエイティブ・ツールとして手元に置いておくには価格的にも最適でしょう。そして、何より音が良い。セールス・トークではなく本当に良いのです。

最新のパソコン用にデザインされているので、ぜひハイパワーなマシンで使ってほしいですね。

僕の次のアルバムもStudio Oneで製作しています。













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