2013年5月2日木曜日

映画 ポケットいっぱいの涙 (Menace II Society)

90年代、誰もが涙した名作!!
L.A.で巻き起こるギャングたちの抗争の果てに、若者たちが辿り着くものは・・・・

誰も撮らなかった現代アメリカ社会の最も重たいテーマ。

荒廃したイメージでたびたび米メディアに露出していたLAのサウス・セントラル地区を舞台に、
抗争や死という日常を生きる周囲の友人達に巻き込まれてゆく主人公の葛藤を描く。

暴力とドラッグに支配される街に暮らすひとりの黒人青年の目を通して、
現代アメリカ社会が抱える病巣を鋭く活写した異色の青春映画ですね。


監督は撮影当時、弱冠20歳のアレン&アルバート・ヒューズ兄弟です。
PV出身ならではのビジュアルセンスと、黒人コミュニティの現実を直視する冷徹な視点、
それと、ブライアン・デ・パルマらの影響を受けたであろう、ショッキングな暴力描写が最高!!

流れる音楽はQDIIIで、出演もしているMCエイト等によるヒップホップが全編を彩る。
出演はタイリン・ターナー、ウィル・スミス夫人としても知られるジェイダ・ピンケットら。
「パルプ・フィクション」のサミュエル・L・ジャクソンがケインの父親役で助演して下ります。

60年代にロセンゼルスのワッツ地区で起きた大暴動から30年が過ぎていました。
そこから、この映画が始まります。

ケインは友人のオー・ドッグとビールを買いに食料品店に行くが、
アジア系の店主に侮辱されたことに腹を立てたオー・ドッグは店主とその妻をアッという間に射殺してしまい、店内の防犯ビデオと金を奪って逃走します。

ケインは幼い時、母はヘロインの過剰摂取で亡くなり、
父もまた麻薬取引のいざこざで殺されたため、
祖父母に育てられたが、10代になると早くも麻薬を売って身を立てていた。
彼が師と仰いできた近所の麻薬ディーラー、バーネルは現在、刑務所に服役中だ。
幼いケインに初めて酒を飲ませ、銃を握らせたのが、バーネルだった。

ある晩、ケインが従兄弟のハロルドの車に同乗していると、敵対するストリートギャングに襲われた。ハロルドは撃ち殺され、ケインも重傷を負う。
自宅療養中のケインを訪れたオー・ドッグは、ハロルドの敵討ちを提案。ケインとオー・ドッグ、
友人のエイ・ワックスの3人はハロルドを殺した男を捜し出し、射殺する。

ケインは、初めて人を殺した衝撃に身を震わせる。
彼は、食料品店での殺人の様子を繰り返しビデオで見ては興奮し、
自慢しているオー・ドッグの無神経さに嫌悪する。
自分の将来に不安を覚えるケインにとって唯一の救いは、
バーネルの恋人ロニーと、6歳になる息子のアンソニーだった。

ケインは親子を守るためなら、どんな犠牲も厭わなかった。
ケインはいつしかロニーと結ばれ、親子と街を出ていくことを決意する。
だが、その矢先に・・・


冒頭シーンである韓国系アメリカ人への酒屋での残虐な暴力描写が良くも悪くも有名であり、たびたび批判される要因ともなっている。しかしひたすらリアリズムに徹したアメリカ都市部の暴力シーンや、観る者にあえて負の部分を曝け出すことによって何らかの力強いメッセージ性を送っているという点でもの凄く僕は評価しています。この映画のリアルさはハンパでは無いですね。

暴力・危険・荒廃などのイメージで以前からたびたびメディアに露出していたロサンゼルスのサウス・セントラル地区がこの映画の舞台であり、アフリカ系アメリカ人コミュニティーの特殊な環境を強烈に写し出しているのが、もうひとつの魅力ですね。

正直言って、内容はもの凄くいいですが、映画が終わってから、暫く考えさせられる非情に重たい気持ちになるのも事実です。それは、現代でもある、人種差別の状況も良く伝わる映画ですね。



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