2014年5月29日木曜日

Donny Hathaway

俺の生涯で彼以上のシンガーは居ないと思います。
その彼とは、伝説のソウルシンガー Donny Hathawayです。


1945年10月1日イリノイ州シカゴ生まれ。
かなり幼い頃から聖歌隊で歌を唄っていました。楽器は主にピアノを学ぶ生活で、
高校を卒業後にハワード大学に進学しクラシック音楽を専攻していました。

ハワード大学卒業後はミュージシャンとして、あのCurtis Mayfieldの下で音楽を勉強してキャリアを積みました。 その後、1970年にアトランティック・レコードからデビューアルバムを発売して、1979年亡くなるまでに、Single 15枚 Album 6枚 没後に5枚を発売しています。

敬虔なクリスチャンの彼は、大学で音楽教育を受け、また白人アーティスト曲を自己流にカバーするというスタイルは従来の黒人アーティストにはない少し変わった存在でした。

それとは別に、黒人社会が抱える様々な問題にも踏み込んだ曲を発売して、
ニュー・ソウルと呼ばれる新世代の黒人アーティストとして脚光を浴びた下りました。

然し、衝撃の事態がおきます。1979年1月13日、ニューヨークのエセックス・ハウス・ホテル15階の窓から飛び降り、自殺。34歳の短い人生に彼が自ら幕を下ろしてしまうのです。

後の話によると、彼は相当に精神的にまいっていた様子で、いつ自殺してもおかしくない状態だった様ですね。

彼の生きてきた人生は、アメリカの黒人ピープルたちにとって重要な一時代とともにあり、
彼の死はその時代の終わりを告げる出来事でしたね。

60年代末にピークをむかえたアメリカの公民権運動。
人種差別の撤廃を求める黒人たちの運動は、
完全に泥沼化していった、ベトナム戦争に対する反戦運動の盛り上がりとともにアメリカ全土を巨大な混乱の渦に巻き込みました。

その後70年代に入っても、かつて多くの若者たちが目指した社会の根本的な変革は、
現実のものとはならず、キング牧師やケネディー大統領の暗殺が示すように、
時代はけっして明るい方向へは向かっていませんでした。

それでも黒人社会においては、ついこの間までは、
公然と行われていた公共の場所での差別、
電車やバスの座席、大学や高校への入学、職場での待遇などの差別は、少しずつ解消され、
黒人たちの社会進出は着実に進んではいました。

黒人たちにとっては、キング牧師が夢みた平等な社会が一歩づつ実現に向かっている希望に満ちた時代。それが60年代末から70年代前半にかけてだったと言えるのでは無いでしょうか。
黒人社会における中産階級の社会進出は、大きく前進しました。

低所得者層については、今までと状況に変化はなく、
中産階級の所得アップとアメリカ全土に広まりつつあった不況の波の影響で、
かえって不公平感が広まり始めていました。

早すぎた時代の変化の揺れ戻しが訪れようとしていたのです。
国民の意識改革よりも先に進んだ制度先行の平等政策、
その限界が、70年代半ばには明らかになってきたんですね。

その中にキラリと光る彗星のように彼が音楽業界に登場します。
彼は、そんな時代の流れを象徴する存在となるかのように、
1970年さっそうとソウル・シーンに登場した。

ゴスペル・シンガーを祖母にもち、名門のハワード大学でクラシックなど音楽を学び、
主席で卒業した黒人中産階級出のエリート。
彼は、牧師の道、音楽教師の道を選ぶこともできたが、
あえてミュージシャンになる道を選んだのですね。

彼の音楽の特徴は、それまでのソウル系ミュージシャンにはない音楽でしたね。
先ず、彼は音楽的な専門教育を受けていたせいか、
他人の曲を編曲し直し、自分独自の新しい曲に仕上げるのが得意でした。

その時彼が取り上げる曲の中に白人ロック系アーティストの曲が多いこともまた大きな特徴でしたよね。このあたりのセンスが、彼のサウンド・スタイルをニュー・ソウルと敬称される様になります。
その後のブラック・コンテンポラリーの先駆けであったと僕は思います。


ディスコグラフィです。
購入時の参考にして下さい。
先ず、数少ない彼のシングルレコードです。

The Ghetto-Pt. 1(1970)
You've Got a Friend (1971)
You've Lost That Lovin' Feelin (1971)
Giving Up (1972)
I Love You More Than You'll Ever Know (1972)
Little Ghetto Boy (1972)
This Christmas (1972)
Where Is The Love (1972)
Love, Love, Love (1973)
Come Little Children (1974)
The Closer I Get To You (1978)
You Were Meant For Me (1978)

次は、フルレンジアルバムレコードです。

Everything Is Everything (1970)
Donny Hathaway (1971)
Come Back Charleston Blue Original Motion Picture Soundtrack (1972)
Live (1972)
Roberta Flack & Donny Hathaway (1972)
Extension Of A Man (1973)

没後にリリースされたレコードです。

The Best Of Donny Hathaway (1978)
In Performance (1980)
Roberta Flack Featuring Donny Hathaway (1980)
A Donny Hathaway Collection (1990)
These Songs For You, Live! (2004)

最後に、彼は、ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な
100人のシンガーに於いて第49位です。

それと、1990年代以降、過去のブラック・ミュージックが再評価された中で、
最も「リスペクト」されたアーティストがDonny Hathawayと俺は思います。
それは、事実ですね

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