2013年4月1日月曜日

Edward Gein

今回からスタートしました。Serial Killerの紹介コーナーです。
第1回目の今回は、Edward Geinです。


大傑作ホラー映画で有名な悪魔のいけにえの殺人狂のモデルになった、Serial Killerです。
アメリカの中北部、ウィスコンシン州の中央に位置する広大な平原の真ん中に、プレインフィールドという人口600人の小さな町があります。「何もない平原」というその名の通り、
本当になんにもないところであります。
視界に映るのはどこまでも続くライ麦畑のみ。住民の娯楽は鹿狩りと、
1杯のビールぐらいしかなかった町で、全米が震えあがる事件が起きます。


1954年12月8日、この町で酒場を営むメアリー・ホーガンという体格のいい中年女性が行方不明になった。シーモア・レスターという農夫が一杯やろうと店に入ると、中には誰もいなかった。

カウンターの中を覗いて仰天した。床が血だまりになっていたのである。
通報を受けたハロルド・シンプソン保安官は、床に転がる32口径ライフルの薬莢と、
引きずられた血の痕を発見した。誰かがホーガンを射殺し、その遺体を持ち去ったらしい。

しかし、何のために? 現場には争った形跡はないし、レジも手つかずのままだ。
動機がまったく掴めなかったらしいです。事件から1ケ月が経過しても事態は進展しなかったんですよ。

3年後の1957年11月16日、今度は金物屋を営むバーニス・ウォーデンが行方不明になった。
先のメアリー・ホーガンと同じような背格好のおばさんで、
26年前に夫に先立たれてからは店を1人で切り盛りしていた。

その日は鹿狩りの解禁日で、男たちはみな森に出掛けていた。町は閑散としていたが、
ウォーデン夫人だけは店を開き、1人で店番をしていた。
息子のフランクが帰って来たのは日が暮れた頃だ。
店は明かりが灯っているにも拘わらず鍵がかかっている。

不審に思って合鍵で中に入ると、まずレジがなくなっていることに気づいた。
そして、床が血だまりになっている。フランクは慌てて保安官に通報した。

新任の保安官アート・シュレーが駆けつけた時には、フランクは下手人の見当をつけていた。
男たちがみな鹿狩りに出掛けた午前8時30分頃、エド・ゲインがウォーデンの店に現れた。

ウォーデン夫人は顔をしかめた。最近、この男から頻繁に色目を使われ、
デートに誘われていたのである。

しかし、客は客だと自分に云い聞かせ、いつものように愛想よく応対した。
ゲインは不凍液を注文して代金を支払い、隅の棚から22口径のライフルを手に取り、
品定めをするふりをしながら弾を込めると、夫人の頭に狙いを定めて引き金を引いた。
即死だった。次にゲインを目撃したのはエルモ・ウエックである。

彼はゲインの所有地で鹿を仕留めたところで、彼が運転するフォードのセダンにはち合わせた。
ゲインは愛想よく手を振り、そのまま走り去っていった。

午後になって、近所に住むボブ・ヒルと妹のダーリーンが「車のバッテリーが切れたので、
町まで車に乗せてくれないか」とゲインに頼みに来た。

奥から現れたゲインの両手は血まみれだった。
シカをさばいていたと、ゲインはそう云ってニヤニヤと笑ったが、兄妹は不審に思った。
彼は常日頃から「けものをさばくのはきらいだよと云っていたからだ。

だからこそ彼は鹿狩りに出掛けないのである。しかし、まあ当人がそう云うんだからそうなのだろうと、血を拭ったゲインに町まで送ってもらった。そして、御礼としてゲインを夕食に招いた。
ゲインがヒル家の夕食に舌鼓を打っていた頃、シュレー保安官はフランクと共にゲインの家へと向った。家の中は真っ暗で誰もいない。2人は裏手に建て増しされた台所に踏み込んで、
懐中電灯をかざした。天井から何かがぶら下がっていた。

Yの字型のそれは、逆さ吊りされた人間だった。
陰部から胸部に至るまでが縦一文字に切り裂かれて、
はらわたをすべて抜かれている。首も切断されていた。

フランクは、その異形の物体が変わり果てた母の姿であることを悟るや泣き叫んだ。
新任の保安官は外に飛び出し、雪上に胃の内容物をぶちまけた。

ゲインの家を捜索した警察は、恐怖を通り越して、笑うほかなかった。ベテランの捜査官でも、
ここまで凄まじい光景は未だかつて見たことがなかった。

まず、その不潔さに驚かされた。部屋の中には汚れたままの食器や腐りかけた残飯、空き缶や空き瓶、その他さまざまな汚物が所狭しと散らばっていた。
食器類の中には不思議な形のものがあった。

よくよく見れば、それは人間の頭蓋骨の上半分を切り取って加工したものだった。
棚を見上げればズラリと頭蓋骨が並んでいる。ベッドの柱も頭蓋骨で飾られていた。

椅子の肌触りも変だった。思った通り、人間の皮だった。この他にもランプシェードやゴミ箱、太鼓、
ハンティングナイフの鞘が人間の皮で出来ていた。ベルトは女性の乳首で飾られ、
ブラインドの紐にも唇がついていた。人喰い人種が作るという「干し首」も9つ見つかった。

どれも髪の毛は生前のままである、中には化粧を施されているものもある。
その1つが3年前に失踪したメアリー・ホーガンのものだった。

バーニス・ウォーデンの切断された頭部も発見された。両耳には紐が通されており、
壁飾りとして吊せるように加工されていた。
彼女の新鮮な心臓はオーブンの上の鍋の中で調理されるのを待っていた。

古ぼけた靴箱の中には9つの女性器コレクションがあった。ほとんどが乾いて縮んでいたが、
1つだけは銀色に塗られ、紅いリボンで飾られていた。もう1つはとれとれの新鮮なやつで、
保存用に塩がまぶされていた。鼻だけが詰まった箱もあった。

人肌マスクも9つも見つかった。それは丁寧に人体から剥がされたものだった。
極め付きは人肌チョッキである。おっぱいがちゃんとついており、着ると女性に変身できるという優れものだ。ゲインはおそらく、これを着て、マスクをつけて、女になったつもりで自慰に耽っていたのではないだろうか? いずれにしても、人間の所業とは思えない。悪魔の仕業である。
一方で、整然とした部屋もあった。

それはゲインの母親の部屋であった。10年前に死んだ時からそのままの状態で保存され、誰も入れないように封印されていたのである。
ゲインが殺害した女性は二人とも母親に似たところがあった。

太っていて威圧的な中年女性。ゲインは何度も何度も繰り替えして母親を殺していたのではないか。彼は母親も、母親の思い出も心から愛していなかったに違いない。

母の部屋を生前のままに保存して封印していたのは、愛情だけではなく畏怖の念も感じられる。
とにかく、母親の呪縛から逃れることが出来なかったことがゲインの最大の悲劇だと思いますね。
彼は母親を「剥製」にはしていない。それはあくまでも噂である。

加えてネクロフィリアとカニバニズムの噂も当人は否定しているが、これについては本当のところは判らない。ゲインは医師団に「回復の見込みのないほどに精神を病んでいる」として責任無能力者と診断され、州立の精神病院に収監された。
この措置に身内の墓を暴かれたプレインフィールドの住民たちは猛反対た。
やがて、ゲインの土地は競売にかけられ、売上げがゲインのものになると知るや、
ゲインの家を焼き払った。プレインフィールド唯一の観光名所は消え失せた。

現在でも人口800人程度のこの町では、いまだにゲインの話題はタブーだという。
焼却を免れたゲインのフォード車は競り落とされて見世物になった。

運転席にはゲインの蝋人形、バックシートには切り刻まれた血みどろの女の死体が置かれていたというから悪趣味の極みだ。抗議の電話が殺到し、数日のうちに展示を禁止されたという。

1984年7月26日、ゲインはメンドータ精神病院で呼吸不全のために死亡した。77歳だった。
遺体はプレインフィールドの母の隣に埋葬され、町の唯一の観光スポットになっているらしいです。

エド・ゲインはおそらく映画史に最も影響を与えた人物だと思います。

彼がいなければ『サイコ』も『悪魔のいけにえ』も『羊たちの沈黙』も作られることはなかったのでは無いでしょうか。
彼は現代アメリカの悪夢を象徴する存在であり、その無垢だが邪悪な魂は今日も生き続けています。

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